【12月5日 AFP】2019年は、気候変動が引き起こす緊急事態に世界が不安を感じた年となった。壊滅的な異常気象により人々がパニックに陥るというフィクションは、SF小説のサブジャンルの一つに過ぎなかったが、今や主流になりつつある。
 ローランド・エメリッヒ(Roland Emmerich)監督の2004年の映画『デイ・アフター・トゥモロー(The Day After Tomorrow)』は、気候変動により沿岸地域が破壊されるなど世界中で異常気象が発生し、人々がパニックに陥る様子を描いていた。
 それからわずか15年後の今、この映画のシーンを思い起こさせるような異常気象が現実に起こっている。気候変動による巨大暴風雨、洪水、森林火災、干ばつなどが増えるにつれ、「気候フィクション(Cli-fi)」と呼ばれるジャンルが運命論を信じる人の間で人気を集めている。
 米作家で、Cli-fiの熱狂的なファン、ダン・ブルーム(Dan Bloom)氏は、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」からの離脱を表明したドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、このジャンルの宣伝に一役買っていると指摘する。
「気候変動は現実のものではないと主張する人は多い」とブルーム氏。「このような人々に対しそれ以外の人は非常に腹を立てている。その結果、Cli-fiが支持を集めるようになった」
 オーストラリア・モナシュ大学(Monash University)のアンドリュー・ミルナー(Andrew Milner)教授(比較文学)は、Cli-fiはまだSFのくびきから解き放たれていないと分析している。だが、「サブジャンルとしてCli-fiが近年急成長しているのは明らかだ」と指摘する。